国の設計労務単価大幅引き上げで見えてくるのは…建設業界の現状
国が決めた公共工事設計労務単価は14年間連続下落で何が起こっているのか…
建設産業で働く労働者が減少…震災復興、老朽施設の維持・改修、長寿命化にも影響が
地域から身近な大工・左官屋など建設関係のお仕事をされている方が年々減少し、家の修理など「どこに頼めばいいの」と言う相談も少なくありません。
この14年間、国は、公共工事設計労務単価(公共工事金額の見積に使う労務単価・国交省が決める)の連続引き下げをおこなってきました。14年間で全産業の賃金下落6%に対し、設計労務単価は27%も下落。建設労働者の場合、賃金水準(男性労働者)を全産業と比較すると26%も低くなっています。
また十数年間で24歳以下の若年入職者が建設産業では5分の1にまで減少。特に建設技能労働者(型わく工・左官・とび工・鉄筋工・電工・配管工など)は、高齢化し後継者がいない危機的状況になっています。
構造改革路線の下で際限なく建設労働者の賃金が切り下げられ、入職者が減り、技能労働者の退出が続けば産業自体成り立たなくなっているのです。こうした状況は、震災復興や全国的に大問題になっている老朽公共施設の改修や長寿命化などインフラの維持に大きな障害になってきます。こうした危機感から国も今回の大幅値上げに踏み切ったようです。
問題は、公共工事設計労務単価の引き上げ分が、適正に賃金や社会保険など福利厚生に回されるかです。
いまほど適正な賃金などを社会的に保障する公契約条例などの取り組みが重要になっているときはありません。それは、単に労働者の労働条件改善に止まらず住宅から道路、公共施設など維持管理、建設する建設産業全体の課題にもなっているのではないでしょうか。
☆この問題の参考に建設政策研究所の「公共工事設計労務単価(2013年度)引き上げに関する見解と提言」もご覧下さい。(以下のアドレスからリンクします)
http://homepage2.nifty.com/kenseiken/opinion/op_20130415.pdf
また国土交通省のホームページにも関連資料が掲載されています。(以下のアドレスからリンクします)
http://www.mlit.go.jp/common/000993051.pdf
- 2013.06.07 Friday
- 公契約条例、ワーキングプア
- 09:51
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- by 横山 幸次